国家資格を取得するために、専門学校へ行くことを検討中の社会人・高校生とその保護者の方
国家資格を目的とした専門学校進学では、資格が取れないと、その専門職には就職できないですから、慎重な学校選びが要求されます。
少し手間はかかりますが、本当に良い専門学校を見分ける方法は、パンフレットの見方と、情報公開のデータから読み解くことができます。
この記事では、専門学校選びで後悔しないために、情報収集の仕方、見方について解説します。
失敗しない専門学校選びの基本
注:オープンキャンパスへ行く場合は、この記事で説明する内容を実施した上で行きましょう。
行政機関から認められた専門学校が良い
専門学校を選ぶときは、以下の2つに指定されていると安心です。
- 高等教育無償化対象校
- 職業実践専門課程
これら2つは、行政機関が承認している形なので、基本的に信頼できると言えるでしょう。
基本的と言ったのは、いろいろと甘い部分があるためです。
例えば、評価については自己評価という形なので、客観性が乏しいと考えられます。
これら2つの制度についての詳細は割愛しますが、指定されていることで「なぜ安心なのか」を解説します。
高等教育無償化対象校
高等教育無償化対象校に指定されていれば、専門学校(学校法人)がすぐに倒産する危険性が少ないことを表しています。
この指定を受けるためには、経営状況、定員充足率、教育内容について基準をクリアする必要があるためです。
ちなみに、在学中に専門学校が倒産しても、全員卒業するまでは行政のサポートにより学校が存続します。
なお、経営難の専門学校では、実習内容や教育内容に問題が発生していることも考えられます。
例えば、お金が無いため、「実習に使う器具や機械などが更新されない」、「講師に十分な給料を払っていないため、優秀な講師が辞めてしまう」などです。
どうせ高額な学費を払うなら、安定経営している専門学校の方が安心です。
職業実践専門課程
職業実践専門課程に指定されていれば、カリキュラムのレベルが担保されていると考えられます。
ただし、これは書類上での話なので、実際に質の高い教育を受けられるかは、吟味する必要があります。
また、入学希望者が社会人の場合、条件を満たせば国から給付金をもらえます。
職業実践専門課程の指定を受けることは、専門学校はアピール材料として、入学希望者は学費軽減になり、双方にメリットになる良い制度です。
なお、職業実践専門課程は学校単位の指定ではなく、課程(学科)ごとの指定となるので、同じ学校内に指定を受けていない学科がある場合があります。
情報の出し方が信頼できる専門学校が良い
高等教育無償化対象校、職業実践専門課程では、決められた書式での情報公開が義務となっています。
普通は、公式サイトに情報公開のページがあり、PDFファイルをダウンロードできる形となっています。
信頼できる専門学校の見分け方の一つとして、情報公開のやり方が挙げられます。
なお、職業実践専門課程に関する公開情報には、生徒数、退学者数、資格試験の合格者数などのリアルな数字が書いてあります。
信頼性を見分けるポイントは下記の2点です。
- 公開情報に容易にアクセスできる
- 公開されている情報に誤りがない
普通に考えて当たり前のことに感じますが、できていない専門学校が結構あります。
私は本サイトの運営にあたり、職業実践専門課程と高等学校無償化に認定された、専門学校の公開情報を全て収集しています。
いくつかの専門学校では、公開義務があるにもかかわらず、公式サイト上で情報公開をしていないようです(見つけられない)。
それは論外としても、とても見つけにくい場所にリンクを配置している専門学校は多いです。
悪く言えば、意図的に隠しているのではないかと思うほどです。
逆に、公式サイトのTOPページに、大きなバナーで目立つようにし、情報公開のページへのアクセスを容易にできるようにしている学校もあります。
はたして、どちらのケースが信頼できると言えるでしょうか?
また、公開されている情報に明らかな誤りがあることが稀にあります。
それが単に誤字・脱字であれば、ちょっとしたミスなのかと思っても良いかもしれません(致命的なものも見られる)。
ですが、情報公開は、入学希望者から見れば最も大切な情報の一つだと思います。
このような大切なことを、いい加減にしている学校は信頼できますか?
もっとも、情報公開義務のない専門学校では、まったく情報を知ることはできないので、情報公開しているだけマシかもしれませんが・・。
メモ
進路指導をする高校教師が、不足していると感じている専門学校の情報は下記の通りです。
文科省「職業実践専門課程の実態等に関する調査研究」(2016)より引用
- 就職支援等への取組支援(52.3%)
- 生徒支援への取組状況(30.7%)
- 資格取得、検定試験合格等の実績(28.7%)
これらの情報は公開しているにも関わらず、不足していると考えられており、情報の質に課題がある可能性があると言及しています。
- 職業実践専門課程と高等学校無償化にダブル認定されている学校が良い
- 情報公開の方法やその内容が信頼できることが大切
国家資格目的の専門学校選びで重視するポイント
専門学校で取得を目指す国家資格には2つのパターンがあります。
- 専門学校を卒業すると、受験資格を得られる。
- 専門学校卒業と同時に資格を与えられる。
上記2つでは、専門学校選びのポイントは変わってきます。
専門学校を卒業すると、受験資格を得られる
例)看護師、救急救命士、歯科衛生士、美容師など
卒業で受験資格を得られる場合は、当然、試験合格率が重視するポイントになります。
国家資格の場合、学校ごとの合格率が公開されていることもあるので、公式サイトやパンフレットの合格率の記載はウソではありません。
ですが、問題なのは、高い合格率を見て、入学希望者が勘違いすることがあることです。
これから入学を考えている人が、合格率100%と見たら、入学すれば自分も合格できると感じるでしょう。
しかし、実際はそうではないことがあるので、注意して情報を見なければなりません(詳細は後述)。
また、就職先の企業名もチェックしておきましょう。
資格を取っても思ったような就職先に行けるとは限りません。
卒業と同時に資格を与えられる場合
例)保育士、幼稚園教諭(2種)、調理師など
この場合は、卒業と同時に国家資格を得ることができますので、国家試験の合格率は関係ないことになります。
重視すべきは、就職先です。
どのような就職先に就職しているかということも重要ですが、資格を生かした就職がどれだけできているかがポイントとなります。
国家資格を取れば、その資格を生かした就職ができると思われがちですが、必ずしもそうではないので注意してみてください(詳細は後述)。
国家試験合格率だけで判断してはいけない理由と対策
合格率だけでなく、受験者数も確認
卒業すれば受験資格が得られる場合、受験者数は普通、卒業者人数と同じになります。
上記の例では20人受験し、19人合格したので、合格率95%です。
ですが、学科の定員が30人と仮定した場合、10人は受験していないことになります(定員割れしていない場合)。
この場合、3人に1人が留年、退学したと推定できます。
※卒業試験などで卒業要件を満たした生徒、すなわち、試験を受けたら合格するレベルの生徒が受験するので、合格率は必然的に高くなります。
どんな国家試験も、合格は簡単ではないので、勉強はとてもハードです。
どうしても、勉強についていけない生徒がいるのは普通のことです。
また、病気などで学校を休んで、ついていけなくなるリスクは誰にでもあります。
ついていけなくなると、留年または退学という事態に追い込まれます。
なので、退学者、留年者が少ない学校を選ぶのが得策です。
卒業者数、退学者については、情報公開を見れば書いてありますので、必ず確認しましょう。
退学率が10%前後を上回る場合、退学者が非常に多いと判断できます。
退学率が0〜5%という専門学校であれば安心できるでしょう。
勉強についていけない生徒にでも、手間を惜しまず、手厚いサポートをする専門学校が良い学校だと思います。
サポートが充実していれば、留年・退学率も低くなるはずです。
単に「サポートします」と書いてあるだけではなく、具体的なサポート手法がパンフレット等に書かれていると安心です。
この点について、複数の専門学校のパンフレットを比較検討しましょう。
サポートが本当に十分なのかは、情報公開の退学率から推し量れます。
退学理由が経済的理由なこともあります。その辺も情報公開を見れば分かります。
資格を生かした就職先
就職先リストの、企業名に資格を生かせる企業が多くあるか?
例えば、保育士の専門学校であれば、就職先リストに保育園が並ぶはずです。
実際、ほとんどの専門学校のパンフレット、公式サイトには、資格を生かせる施設や企業の名前が並んでいます。
ですが、公開されている就職先リストは、問題がある場合があるので注意して見ましょう。
■事例①の問題点
この事例の問題点は、実績年度が記載されていないことです。
このような場合は、過去数年分の就職実績で、掲載価値があるものを選んで、掲載している可能性が高いです。
生徒が良い就職先に就職するたびに、継ぎ足してゆく感じです。
結果的に、資格を生かした就職先が、多く記載されることになります。
これでは、単年度でどのような就職先があるのか判断できません。
このような就職先の見せ方をしている場合、注意した方が良いと思います。
気にして見ないと、良いイメージだけが印象に残って、スルーしてしまう可能性が高いです。
■事例②の問題点
ほとんどの専門学校、大学でも行われている方法です。
就職実績の年度を記載していますが、企業名の最後に「など」と書いてあるところに注目すべきです。
この「など」には、資格を生かせない就職先や、見せたくない就職先が含まれていると考えた方が良いでしょう。
情報公開から卒業者人数と、就職先リストの企業数を比較すれば、資格を生かした就職ができる割合が分かります。
また、掲載されている施設・企業の質については、専門学校間で違いがあることが多いので、必ず複数の学校と比較するべきです。
就職先のリストを何となく見て、「就職できるんだ」と思って、スルーしている人が多いと思います。
かなり重要な場所ですので、しっかり見ましょう。
専門学校は、地域の施設・企業とつながりが強いと言われています。
その辺が、専門学校は就職に強いと言われる所以です。
具体的にどの様な施設・企業とつながりがあるのかは、職業実践専門課程の情報公開、パンフレットを見れば分かることがあります。
専門学校に関わっている企業が、有名であったり、数が多ければ就職に有利に働く場合があります。
就職先企業リストと照らし合わせて、研究するのが良いかと思います。
・単年度の就職実績を確認したい場合、進学系サイトの「スタディサプリ進路」を確認する。
基本的に、「スタディサプリ進路」の就職先リストは、直近年度の実績しか掲載されていない。
・情報公開の卒業者数と、就職先リストで資格を生かせる施設・企業の数を比較する。
失敗しない!専門学校選びのための情報収集
進学系サイトを使って、たくさん資料請求する!
大抵の高校では、10件程度の資料請求をするように、進路指導を受けているかと思います。
多すぎると思う方もいるかもしれませんが、10件では少ないくらいです。
なぜなら、大学にレベル(ランク)があるように、専門学校にもレベル(ランク)があるからです。
大学や一部の専門学校であれば、偏差値によってどれくらいのレベルなのか分かります。
しかし、ほとんどの専門学校では、偏差値という概念がないので数字で比較できません。
なので、教育内容や就職実績などで総合的に判断する必要があります。
高校の進路指導で、多くの資料請求を勧めるのは、この理由によります。
また、資料請求するとパンフレット・募集要項・その他の冊子・チラシなんかが入ってくるため、公式サイトよりも情報が圧倒的に豊富です。
※特に社会人は注意!※
忙しい社会人の方は、Google検索で学校探しする人が多いかと思います。
そうすると、検索上位にあった学校から閲覧して資料請求という形になると思います。
その方法だと、必要な情報の網羅性に欠け、全体像を掴みにくくなるかと思います。
ですので、「スタディサプリ進路」で一括資料請求することをオススメします。
これらのサイトは、高校生向けと思われがちですが、社会人、保護者でも普通に使えます。
・資料請求すべき学校
どの様な学校に資料請求すれば良いかを、下表にまとめました。なお、通学できる範囲にある学校については全て資料請求しましょう。
通学可能な範囲と、少し遠くの学校 | |
---|---|
理由 | 少し通学時間が長くなっても、良質の教育を受けられた方が良い。 |
地方の人は都市部の学校 | |
理由 | 上京するかは置いておいて、教育においても格差があると考えられるため。 |
同じ分野の大学 | |
理由 | 専門学校志望でも、大学の教育と何が違うかを明確に理解した方が後悔しない。 |
その分野で有名な学校 | |
理由 | 名門校の教育内容と比較するため |
※その他、気になった学校の資料を片っ端から請求しましょう。比較する材料は多い方が良いです。いくら請求しても無料です。
■資料請求は進学系サイトが良い理由
資料請求は、「スタディサプリ進路」で、一括資料請求することをオススメします。
その理由は4つ。
- たった一回の個人情報の入力(無料会員登録)で、複数の学校の資料請求が一気にできる。
- 各学校の情報量が少なく、要点が押さえられており、資料請求する学校を選びやすい。
- 資格から検索・絞り込みができる。
- 余計なセールスを防げる可能性が高い。※
※公式サイトから申し込むと、上位の見込み客としてマークされる恐れがあります。
特に検索流入で公式サイトにアクセスし、資料請求するケースはマーケティングの世界では、上見込み客と見るのが常識となっています。
場合によっては上見込み客には、電話でのセールスをするかもしれません。
良い専門学校選びには、資料請求が欠かせません。
資料が手元に届いたら、公式サイトの情報公開のデータを印刷して、見比べれば作業しやすいと思います。
この下に進学系サイトへのリンクを作っておきますので、今すぐにでも資料請求してみてください。別ウィンドウで開きます。
掲載学校数最大級!まずはここから↓
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