最近、「リスキリング」「社会人の学び直し」といったキーワードをよく聞きます。ですが・・
正直、社会人の専門学校進学は、リスクが大きいかと思います(例えば高額な学費)。
おそらく、この記事をお読みになっているあなたもそう感じているはず(だからこの記事に辿り着いた)。
ただ、「やりたいことができた」「夢を諦められない」といった場合、専門学校進学も選択肢の一つなのは間違いありません。
しかし、良く考えないと今よりも状況が確実に悪化します。最悪です。
場合によっては人生最大の失敗になることも・・
本記事が、本当に「その進学があなたにとって最適なのか?」を考える手助けになったら幸いです。
なお、私は専門学校の教員を長いことしていた経験があり、その経験をもとに書きたいと思います。
一人で悩んでも解決しない!という方へは、「【社会人の進学】進学に迷いや不安がある人は進路相談で解決!」の記事がオススメです。
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【社会人の進学】進学に迷いや不安がある人は進路相談で解決!
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社会人の専門学校進学のデメリット・リスク
社会人の専門学校進学のデメリット・リスク 1 質の悪い専門学校もある
社会人が行かない方が良い専門学校もあります。
教育内容や質を見極めて進学しましょう。
色々なことを学べる専門学校がありますが、社会人は下記に該当するような専門学校には行くべきではありません。
学力面で大学に行けない高校生の受け皿としては上記の専門学校はアリだとは思いますが、仕事を辞めてまで上記のような専門学校に行く価値はありません。
質の悪い専門学校では上記3つのいずれかに該当するケースがあるので見分けるポイントとなります。
ここは重要な部分なので理由も説明したいと思います。
就職・仕事に有効な資格取得ができない学校
資格取得をアピールする専門学校は多いですが、社会人が専門学校に行ってまで取得すべきは「仕事に必須の国家資格や難関資格」だけです。
民間資格であれば、通信教育を使った方がはるかに安く短時間で済みますし、実際このような資格の多くはそれほど転職に有効ではありません。
民間資格でも無いよりはあった方が良いんじゃない?
それはそうですが、高額な学費と時間を使ってまで取得する意味はないかと・・
もったいないですね。
さらに気をつけるべきは、試験の合格率です。
合格率は、受験した人のうち合格した人の割合を示すので、学生の全てが受験しているとは限らないのです。
私の勤務していた学校でも、合格しなさそうな学生は、受験させませんでした。
うげー。なんかイカサマ臭いんですけど!!!
学生は不合格になってお金を無駄にしない。学校は合格率を上げられる。
お互いの理にかなっているので、在校生から文句は出ません。
ようするに、一般の人が考えている合格率と学校側でのニュアンスが違うということです。
この辺は情報公開資料から学科のうち何人が受験して何人合格したのかを計算すれば明白なので、専門学校選びの参考にしましょう。
私が見た中でひどいのは、学生数が30人くらいの学科で、5人程度受験して全員合格で100%を謳っていたというのがあります。
大学と専門分野が被る専門学校
例えばプログラミングなどのIT分野(情報系学部)、デザイン分野(美大)・・挙げるとキリがないのですが、大学でも学べる内容を専門学校で学んではいけません。
理由は簡単で、就活で大卒と戦う必要があるからです。
あなたが企業の採用担当だとして、同じことができそうな大卒者と専門卒者(しかもキャリアブランク有り)どちらを採用しますか?
それと、カリキュラムの内容からしても、大学の方が高度な内容を学ぶことになっているので、本気で学ぶ気ならば、たとえFラン大学でも大学が良いでしょう。
履歴書上は、大卒の方が質が高いと見られるのが普通です(学歴フィルター回避も可能)。
悪い言い方をすれば、特定の専門分野においては「専門学校は大学の劣化版」「大学に行けない人が行く場所」と見られても仕方がないでしょう。
あなたにとっても、レベルの低い学生の中に身を置くよりも、多少なりともレベルの高い場所に身を置いた方が良いのではないでしょうか?
こういうエンタメ系の専門学校って本当に一部やる気のある人以外は単に普通の大学とかに入るための勉強すらやりたくないような怠け者が来てるだけだからものすごいレベルが低いらしいんだよね。そういう学校で2ー3年かけてやる内容を3ヶ月で集中講義できるって意味じゃ正しいんじゃないかな
— YS@GPCR (@YS_GPCR) November 19, 2019
やっぱり専門学校ってのはレベルが低いもので、一応 基本情報合格してないと入れない学科なのに、同級生がメソッドの概念すらきちんと理解してなかったり、なんというか全体的にプログラミング経験が浅すぎるなと思った
— trackiss (@twi_trackiss) June 11, 2019
別にそれが悪いという訳ではないけど
じゃあ、どんな分野だったら専門いく意味あるの?
ひたすら現場技術を磨く分野に限ると思います。
例えば調理・製菓、美容・理容、アニメ・漫画なんかは専門学校が最適です。
特に進歩の早いIT系については、学び方自体も進化しています。専門学校に通って学ぶという概念はかなり古いものになっています。
例えば、プログラミングの分野はオンラインスクール経由で転職する事例が多くあるので、大学に行けないのであればそちらの方が金銭的・時間的にメリットが多いかと思います。
IT系専門学校に行くか迷っている人は、下記の記事も読んでみてください。
卒業生の就職先を誤魔化している学校
誤魔化しているという書き方だと悪意があるように取られかねないので、「まぎらわしい」「おおげさ」と言い換えます。
ガーッ!全然フォローになってないし。
っていうか、またイカサマ臭い!
専門学校も商売なので、いかに魅力的に広告を出すかが勝負になります。
パンフレットやWebサイトで「夢を叶えた先輩」みたいなページには業界大手に就職を果たした人の写真やインタビューが踊っていると思います。
これ、質の悪い専門学校だと毎年かなりの少数だったり、場合によっては数年に一度という頻度しか発生しないレアな就職先ということもあります。
Twitterでもこんな発言が・・
@pusaizoku 専門学校行ったおっさんのお節介だけど全体的に専門学校レベル低いので気をつけろよ!ちなみに俺のいったとこのゲーム科だと学年で1,2人SEGAとかの有名なとこ入る、他は知らんとことかそんな感じ。
— ryomatsu (@ryomatsu) February 19, 2013
全ての入学者が満足できるような企業に就職できないということは、皆さんもなんとなく理解はできると思います。
なので、専門学校を選ぶ時はその他大勢がどのような企業に就職できたかをしっかり把握する必要があります。
この辺をしっかりと資料に書いていない専門学校のなんと多いことか。
質が悪ければなおさら隠したいこともあるのでしょう。
逆に、卒業生全員の就職先がわかる資料を出している良心的な専門学校もあります。信頼できます。
自分がその他大勢になることも考えておかなきゃね。
一部の成果を誇大に見せるのが広告の王道ですが、それに飛びつかないようにしないと・・
社会人の専門学校進学のデメリット・リスク 2 コスパ・タイパが恐ろしく悪い
まずはじめに、卒業時に国家資格を取るような専門学校はこれに該当しません。
法律で学ぶ期間、カリキュラムが決められているためです。
問題はその他の分野の専門学校になります。
ようは、半年程度で習得できるようなことを、2年とか3年かけて習得するため、結果的に学費も高額になってしまうということです。
専門学校は最低でも2年間のカリキュラムがないと行政に認めてもらえないので、2年間は授業をしなければならないということが一つ目の理由。
もう一つは、学習ペースを早めてしまうと脱落者が出て退学者が増えてしまい、専門学校の収入に影響が出てしまうということが挙げられます。
けど、ゆっくり学べるなら楽そうでいいね。
社会人のあなたが、時間を浪費してしまうと就職できない可能性が高まります。
年齢を重ねるほど、良い就職ができる確率は下がっていくと覚悟した方が良いでしょう。
いくら専門学校を卒業したとはいえ、業界未経験者として扱われます。
企業によっては社会人経験があれば新卒として見ないことすらあります。
リミットは・・
卒業時の年齢が28歳まで
と考えておきましょう。
社会人の専門学校進学のデメリット・リスク 3 大変で続けられないかも
これは質の高い専門学校に入ったときの話です。
専門学校は「大学をあきらめた学生の進路なので、学力はそれほど不要で、誰でも簡単に卒業できる!」などと思うと痛い目を見ます。
大学4年間とは違い、専門学校は2-3年間で職業に通用するような人材を育てなければなりません。
実は、専門学校でしっかりと学んで卒業しようと思えば大学よりも大変です。
特に国家資格などの難関資格を受験させる専門学校は極めてハードです。
とにかく課題や宿題を多く出されます(そうでないゆるい専門学校は専門性を高められないし、ロクな就職もない)。
「仕事の方がお金ももらえるし、楽だった・・・。」
と感じると思います。
社会人から入って若い子たちと馴染めるかも心配です。正直。
それは、あなた次第ですが、そのような悩みを何回か聞いたことはあります。
気になる人は下記の記事で解説してますのでどうぞ。
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社会人が専門学校に行って失敗する4つのパターンとその対策
続きを見る
社会人の専門学校進学のデメリット・リスク 4 学歴として見てもらえないリスク
専門学校卒という学歴を評価してくれない企業は多くあります。
そんな企業は初めから求人に「大卒以上」という条件をつけて大卒以外を公然と門前払いにします。
これは、俗に
「学歴フィルター」
と呼ばれています。
求人票に学歴不問と書く企業は多いのですが、実際はそんな会社でも「学歴フィルター」で有力大学の卒業者を優先的に採用する場合が多いといいます。
大学にもレベルがあり、偏差値が著しく低い大学、いわゆる「Fラン」大学に行くくらいなら、専門学校に行って手に職をつける方が良いという意見も多いですが、求人で大卒以上という条件があれば専門学生はお手上げです。
進学先迷うな 就職や転職考えたら幅広い大学 一筋でいくなら専門 悩む 今日、元自動車整備士の人の話聞いてて資格は持ってて損はしないけど専門行ってから就職だと転職時の最終学歴高卒扱いになっていいとこ就けない&なかなか雇ってもらえないって話聞いてすげー悩んでる
— ミッキー@M-STYLE (@R32M_STYLE) January 25, 2015
求人票を見ていても、「専門卒以上」という条件で求人をしている企業は少なく、大抵は「大卒以上」「学歴不問」ですから、専門卒という学歴は期待しない方が良いでしょう。
社会人の専門学校進学のデメリット・リスク 5 専門分野の職に就けないと地獄を見る
専門性を高めるのが専門学校の目的ですから、その専門分野においてはある程度の知識・技術は身につくでしょう。
ですが、その習得度は人まちまちなのも事実で、全ての人が専門的な職に就けるとは限らないのが現実です。
もしも、卒業時に専門的な職業に就けない場合、就活をネバるか諦めて専門性が必要ない職業に就くかの選択を迫られます。
諦めた場合、仕事内容・労働条件について満足できない選択を強いられることになります(専門に来た意味なし?!)。
結局、時間とお金を無駄にしただけということにもなりかねません。
これが、通信教育やオンラインスクールで失敗したなら、ここまで痛い状況にはならないのですが・・
専門学校に入ってしまうと後戻りできない状況になっちゃうのね・・
これ、最悪だわ。
社会人の専門学校進学のメリット
社会人の専門学校進学のメリット 1 国家資格を短期間で取得できる場合がある
社会人が転職のために、仕事に必須の資格(業務上、法的に定められている資格)を取得する場合は、早く確実に資格が取れる進路が望ましいと言えます。
その様な資格の多くが受験資格に学歴が必要なので、進学は避けて通れないと言えます。
専門学校であれば、かかる経費や修業年限も四大より短いことが普通なので、社会人の進学に適していると考えられます。
ただし、最近は高校から専門学校ではなく、大学に行くケースが増えているので大学とよく比較研究した上で決めた方が良いでしょう。
保育士 | 2年 |
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救急救命士 | 3年 |
看護師 | 3年 |
柔道整復師 | 3年 |
医療放射線技師 | 3年 |
2級建築士 | 2年 |
なお、美容師・理容師・調理師などは専門学校で資格取得するのが一般的なので、専門学校に進学する流れになります。
卒業と同時にとれる民間資格もいくつか存在しますが、就職の決定打になるようなものはありません。
国家資格取得目的で専門学校を検討されている方は下記の記事も役に立つでしょう。
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国家資格取得のための、失敗しない専門学校の選び方
続きを見る
社会人の専門学校進学のメリット 2 条件を満たせば国からの給付金をもらえる
雇用保険加入期間が2年以上あり、一定の条件を満たす人は、専門学校の「職業実践専門課程」に進学で給付金(返済不要)をもらえるかもしれません。
なお、この給付金は大学への進学では使えないのですが、一部の専門学校やプログラミングスクールなどで使え、職業訓練のための給付です。
例えば、受講費用の50%(上限年間40万円)を6ヶ月ごとに最大3年間受け取ることができるほか、生活費に使える「教育訓練支援給付金」があります。
給付金については下記の記事が参考になると思います。
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社会人が専門学校の職業実践専門課程で学ぶときに使える給付金
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社会人の専門学校進学のメリット 3 入試や学費に優遇がある
ほとんどの専門学校で、社会人入試や社会人入学として、入学選考の簡略化や学費に対する優遇があります。
医療・看護系など、ある程度の学力がないと入学できない専門学校だと、社会人入試制度はメリットになると思います。
ただし、社会人でもAO入試を使える場合があるので、そちらの方が金額的に有利かもしれません。
社会人の専門学校進学のメリット 4 異業種転職しやすくなる
一般的に異業種への転職は難しいことが多いです。
特に年齢が高くなってくると前職の実績が最も評価されるポイントになってしまいます。
ですが、業務に必須の国家資格を取得した場合や、専門スキルを証明する高度な資格またはポートフォリオがあれば異業種転職に有利となるでしょう。
また、資格試験の勉強に、個人で買えない専門的な施設や機器が必要な場合、専門学校で学ぶ価値があります。
ポートフォリオとは、自分が作った制作物の作品集です。
デザイン系やプログラミング系では企業に提出する場合があります。
社会人の専門学校進学のメリット 5 一流のプロに教えてもらえる(かも?)
例えば世界レベルのコンテストで入賞した人や、その業界での有名人などを積極的に講師として迎え入れている専門学校があります。
普通に活動していたらそのような人と会話する機会などありませんし、指導を受けることも難しいでしょう。
特に、センスを問われる分野では一流の人の話を聞くだけでも勉強になります。
ましてや、指導を受けられるとすればそれだけでも専門学校に行く価値があるかもしれません。
しかし、注意点があります。
その一流な人がどれくらいの頻度で面倒を見てくれるのか?です。
有名人を広告に使って客寄せをしているケースも考えられます。
この辺も専門学校選びのポイントです。
その一流の講師が、実は年に1回しか来ないなんてこともあるみたいですから確認しましょう。
社会人が専門学校に行くか迷った時の対応策
ここまで社会人が専門学校に行くメリットとデメリットを見てきました。
社会人から専門学校へ入学して学び直すという行為は、あなたの今後の一生を大きく左右する大切で難しい選択だと思います。
しかも、目前の専門学校入学だけでなく、卒業後のキャリアプランを含め検討する必要もあります。
迷うな・・どうしたらいいんだろう?
なかなか決められない場合や不安が残る場合、大きく2つの方法があると思います。
①専門学校以外で学べる方法を探してみる
絶対必要な資格が無いと就けない職業以外は、専門学校で学ばなくとも大丈夫なことがほとんどです。
例えば、創作系の分野であれば「まずは自分でできるとこまでやってみる」「そしてSNSや投稿サイトで評価をもらう」といった方法もあるでしょう。
現在活躍する創作系のプロたちのほとんどは専門学校出身ではありません。
IT系の分野であれば「プログラミングスクールで学んでみる」「書籍で独学してみる」という方法があります。
特に、プログラミングスクールの一部は、就職まで面倒を見てくれるので専門学校よりもはるかにコスパが良いはずです。
就職させてくれそうな専門学校に自分を丸投げするだけが、良い方法では無いと考えます。
②進学・転職について専門家に相談する
親や友人に相談しようとしても相談しにくかったり、感情的になり冷静な判断ができないかもしれません。
社会人のあなたが転職のために専門学校進学を検討しているのは、いわば自分のキャリアチェンジを模索しているということです。
社会人の専門学校進学の悩みは実はキャリアの悩みなのです。
このような悩みはポジウィルキャリアで一回だけですが相談できます。
これについて詳しくは下記の記事で解説していますのでご一読ください。
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【社会人の進学】進学に迷いや不安がある人は進路相談で解決!
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